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8.232018
画像で見る乗馬ブーツ再生への道 Part.1(ファスナー交換~ソール交換修理編)
山の手緋色舘 西野です。
こんにちは!
さて、今回の記事は乗馬ブーツの修理についてです。
「画像で見る乗馬ブーツ再生への道 」
今回を含めて三記事展開の予定です。
各種競技出場の皆様、頑張ってください!!
修理で微力ながらお力になれれば幸いです。
ファスナー交換と細革
最もご依頼の多い乗馬ブーツのファスナーの修理ですが、
これは今までにも修理例を様々にご案内してきました。
緋色舘で最も重要視している点は「原型を崩さず元の運動性能を取り戻す」
ということです。
一見当たり前のことですが、修理専門店以外でこれを実現しているところは少ないと思います。
乗馬ブーツの販売店などに修理を依頼された場合、お客様は製作工房で修理が行われていると認識されていると思いますが
必ずしもそうとは限らないのです。
これはデニーロブーツのファスナー交換の画像の一部ですが・・・
見てのとおりライニング(内張り)にダメージがあります。
これを無視してファスナーを取り付けることも可能ですが
このように修理を追加して行います。
状態がひどい場合は別途有料となる場合もありますが、この場合は基本的にはファスナー交換の価格に含めて(つまり無料で)修理を行います。
乗馬ブーツにとってライニングは非常に重要な部分です。
そのことを修理する上で理解していないと、いい加減なファスナーの取り付けとなってしまいます。
緋色舘で使用しているYKKファスナーです。
左;通常タイプ
右;乗馬用幅広テープタイプ(19mm)
基本的にデニーロブーツやイタリア製Optiのファスナー修理にはこの幅広タイプを使用します。
幅広タイプはファスナーを本体付けする場合に安定感を出し、強度を出すのに最適なものです。
もちろんYKKに別注しています。
乗馬ブーツに精通していない修理店ではこのようなパーツへの配慮も無く、
残念ですが形だけの交換に終わってしまうことも多いのです。
これは名匠として有名な「堤乗馬靴店」のブーツです。
構造としてデリケートかつ、大胆、考え抜かれたデザインが施されたブーツですが、
一度いい加減なファスナーの修理をされており、あまりいいものではなかったために細革との連携が不自然となっています。
ソール交換とファスナー交換、そしてファスナーのカバーである「細革」の付け根を連結。
細革はファスナーを保護する重要な部位です。これがヒール付け根の「バチ」と呼ばれる部分の下に格納されていないと
性能としてはなんの意味も無いと言えます。
このような「ブーツメーカーフセ」や「堤乗馬靴店」のようなところでオーダーされた長靴は、高性能であるがゆえに
修理するには愛情と自信がとにかく必要です。
以前あるブーツ販売店さんから修理の「下請け」をお願いされたことがありました。
「クオリティ云々はいいから、とにかく早い納期で一足あたりの価格は××円の均一で」
そんなものはごめんです。
その販売店さんが本当に騎乗をするお客さんのことを考えているのなら、もう少しマシな提案を聞きたいものです。
behore
ファスナー交換の際に細革にダメージがある場合は同時に修理をすることをオススメいたします。
割安になることと、せっかくファスナーを新調してもカバーがダメージを負っていたらその寿命は本来の力を発揮できません。
after
乗馬ブーツにおいてはファスナーは消耗品です
壊れたら何度も交換して使わなければなりません。
なのでなるべくその消耗を抑えながら長持ちするよう使用する必要があります。
週に何鞍も乗られる方はなおさらですので、状態をご相談いただければ・・・と、思います。
before
after
滑らかに動くファスナー
足首から筒上部までの細革の全交換。ダメージがある場合やはりこれが最もスッキリ致します。
ソール交換とボックス型ブーツの故障縫い合わせ
before
after
デニーロブーツのソール交換。
この形にしておけば、前ソールのゴムが擦り切れてもソール交換せずに現状復帰できるようにしてあります。
乗馬ブーツの修理は、過酷に使用される各パーツを何度も再現性を持って修理できなければあまり意味がありません。
壊れる→修理する 壊れる→修理する
でも本体は人馬一体となるように使い込んで履きやすくなっていく。
これが理想ですね。
ファスナーの無いボックス型ブーツの筒穴あきとソール交換
グッドイヤー製法の本格的なソール構築です。
筒の穴あきはブーツのバックサイドの縫製を全て外してライニングを縫いこまずに本体のみに革あてしています。
ものすごく手間がかかりますが、足首の屈曲部分に考慮しての修理となります。
ソールのつま先修理です。
このブーツはつま先のみ革、ソール全体はゴムで出来ています。
クラシックなブーツほどこのような仕様となっていますね。
ブーツの筒部分と靴部分の境目のつなぎ合わせです。
屈曲に力がかかる部分なので中折れしやすいです。
縫い目を1mmも狂わせたらきちんと縫製できなくなるので、非常に慎重に作業いたします。
手縫いも入ってさらに難解な継ぎ合わせ。ヒールの月型芯にまず本体を固定します。
丁寧にやらないと元通りとはいきません。
では本日は以上です。
Part.2「筒と甲の革あて編」につづきます。
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