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8.312016
緋色舘の乗馬靴(ブーツ)修理
こんにちは。
緋色舘の店主、西野です。
暑さもやっとしのげる季節になってきつつありますね。
秋の訪れも今年は早いのではないでしょうか?
この夏はオリンピックもありましたし、個人的には珍しく(?)楽しくいい夏でしたね。
みなさんはいかがでしたでしょうか?
では本日は乗馬ブーツ修理のご紹介!
使えば傷む乗馬靴ですが、定期的にお手入れをしてチェックしておく必要があります。
週に二鞍以上ご使用になる方はもちろん、
ブーツがキズ付いた状態で使用を続けるとある意味思わぬ危険なことになりますので、過酷なスポーツ
ともいえる馬術は常に足もとには気を配っておく必要があります。
緋色舘では馬術をたしなむお客様の目線に立った、役立つ専門修理を考えて行きます。
では乗馬ブーツの代表的な修理をご紹介。
まずはファスナーの修理。
このような感じでフィールド・ブーツはファスナーの磨耗、擦り切れなどから故障が起きます。
ファスナーだけでなく、それをカバーしている革(細革)などもこのようにダメージを受けてしまいがちですね。
これは左足のみ細革部分のダメージを取って、ファスナー交換したブーツです。
左足はブーツがピンとしっかりとした形を取っているのがわかると思います。
ファスナーを交換すると、この筒が描く曲線がキレイに出ますので、使い込むと型崩れが起こっている
のがわかります。
いいかげんな修理をするとシルエットがガタガタなのですぐにわかります。
背面シルエットを見れば良くわかります。
古いファスナーを丁寧に取り払って、新しいものをきっちりと合う形に装着する。
なかなか難しいものです。
この記事のフロントの画像は新しいものを取り付けた画像ですが、
インソールの下にファスナーの尾っぽを伸ばしてつける場合もあります。
いずれにしても中底に食い込んでいるファスナーを底を抜いて付けることはありません。
ファスナー交換の際に毎回中底をめくり上げているとヒール部分はだんだんぐらぐらになってきます。
ブーツ本体は十年以上使えるものなので、その間何度かファスナーが傷む場合もあるでしょう。
その都度、ブーツに余計なダメージを加えないよう、同じ状態がキープ出来るよう再現します。
ファスナーのカバーとも言える「細革」製作と取り付けです。
ファスナーの交換時にこのあたりのダメージも直しておくといいですね。
一本交換と部分修理のどちらも可能ですので、ご相談ください。
次にオールソール交換。
画像はボックス型(ファスナーで全オープンしないタイプ)の本格的なグッドイヤー
ウェルテッド製法。
底を全交換したブーツです。
お次は革あて修理やオーバーホール。
ハードな使用でアブミの当たる部分が壊れやすいですね。
今回はインナーライニングまでダメージが及んでいるのでいわば大手術です。
底糸を切り、アウトソールを外してキャップの糸を抜きます。
こうなると完全に靴の形ではないですが、インナーも穴が開いているので補修します。
ブーツののタン(ベロ)部分も作り直します。
アッパーの補修→底縫い→ファスナー交換と進みます。
乗馬ブーツ用のゴム・シューレースも取替えて出来上がり。
これは完全にオーバーホールですね。
悪い部分を全てお直しいたします。予算的にも個別修理よりお得です。
こちらも同様にアブミ部分の穴を革あて修理。
アッパーのみです。傷んだらまたこの革を取り外して新しいものに交換可能です。
いわばカバー的なものですね。アッパーの屈曲を邪魔しないように修理いたします。
次は筒部分の革あて修理。
ブーツの革質によってあてる革もチョイスします。
あまり厚みのあるものだと重くなりますし、薄いと弱いで、いろいろありますが、
植物タンニンなめしの革を使う場合が多いです。
足首は屈曲部分なので筒の補強時に干渉しないことが大事かと思います。
もちろん細革などのパーツを邪魔しないよう作ります。
最後はチョッパーです。
これはブーツではなく、土踏まずにゴムを引っ掛けて使うカバーともいうべきものですが、
このゴムが傷んだり、ブーツと同じように筒部分も傷みますのでその修理です。
ゴム部分は革を巻きつけて補強してあります。この長さも微調整が可能ですので、
お好みのフィットで修理可能です。
乗馬ブーツのお手入れに関してよくご質問を受けますが、基本的には通常の靴と変わりません。
ただ、あまり水濡れさせないように使うことと、常にブラッシングで泥などを落としてください。
鞍への色移りを考慮すると筒回りには黒のクリームは使わないほうがいいでしょう。
デリケート・クリームをメインに筒以外の部分は油性WAXを使うと汚れにくく防水効果も
上がります。一度お試しください。
それでは本日は以上です!
緋色舘の乗馬ブーツの修理ご紹介でした!