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6.172015
クレープソールの交換修理総まとめ!(その1)
こんにちは 西野です。
クラークスをはじめとして
クレープソールの修理については、
お問い合わせが多いので今回は二回特集で
おさらい記事をお送り致します。
1.クラークス
まずは人気NO.1のクラークスです。
こちらに限るわけではありませんが、
クレープソールで構成された靴のほとんどは
底材に《緩衝材》を使用しておらず、
クレープラバー本体の柔らかみが
あの履き心地をもたらせています。
ここは修理をしたいと思うお客様には、
《是非とも知っておいて欲しい部分》です。
以下、ナチュラル・クレープの性質について特徴を挙げますと
クッション性は、履き込んでいくうちに足の形に
馴染んでいくことで、さらに履きやすくなっていきます。
靴の表情を決めるコバの雰囲気も天然素材ならではの
優しさがあり、ナチュラル素材の風合いがお好きな方には
非常に心に訴えかけるものがあると思います。
欠点部分をあげるとすれば
1:気温差による変質がある
夏はソール表面がベトついたり、
冬は硬化したりする場合がある。
2:体重がかかるソールの角が丸まりやすい
主にヒール部分ですが、柔らかでクッション性に
優れているぶん、磨耗と圧縮が起こりやすくなっています。
ソールの交換修理をされる場合、以上の特性をふまえた上で
ご使用の環境や好みに合わせて材質などをお決めになるのが
いいでしょう。ナチュラルクレープ以外に、合成クレープ、
EVA素材などのバリエーションがあります。
○アウトソールのみの交換
使い減りによる磨耗でソール交換ご希望の場合、
アウトソール(地面に接地している部分)のみの交換も出来ます。
この修理は天然クレープ以外の素材をおつけすることは出来ません。
他の素材での修理をご希望の場合はミッドソールからの全交換となります。
ミッドソールが正常に機能している場合、
こちらの修理で大きく靴の延命に貢献できますので、
コストパフォーマンスも良く、状態との相談になりますがお勧めの修理です。
○ミッドソールよりの交換
大きなダメージや経年劣化などでソールが変質してしまった場合、
ソールの縫い糸が落ちた時はミッドソールからのソール全交換となります。
ちなみに靴メーカーさんでのオールソール交換は全て例外なしに
この形になると聞いています。
「クラークス・ジャパン」「リーガル・リペア」などの
クレープソール修理もこの形です。
私としては問答無用の一律修理よりも、「残せる部分は残す」
「風邪をひいた程度なのに大手術をする必要はない」という考えから、
状態しだいでは上記のようにアウトソール交換で済ませる方法も
ご案内しております。
そしてもうひとつの違いはミッドソールは全て《手縫い》で
ひと目ひと目、製造時の縫い目を突いて縫い上げているということです。
機械縫いではクラークスのソールの元の縫い目(ピッチ)を
再現するのは難しいのです。なので、各メーカーなどでは
機械縫い以外の方法を取りませんので、修理不可となったものでも
当店では可能となるものも多々ありますので、一度お問い合わせください。
では以下
ナチュラルクレープ(ハイブリッド)の修理例です。
こちらは私自身初めて触らせて頂きました、無印クラークスのレアモデル。
オーナーさん曰くメイドイン・アイルランド
(スコットランドだったかもしれません)らしいです。
何十年も経っているので中敷の刻印も擦り切れて見えません。
しかしこのクラークス・・・
これが本当にクラークスなのか?と思うぐらいにトロトロに
柔らかい革質で、ソール交換の作業中も縫い目の構成を整えるのに
一苦労してしまいました。とにかく柔らかい。
型崩れを起こさないように、慎重に作業いたしました。
まず、中底をしつらえます。
元のソールの縫い目を参考にして目打ちをし、足の当たる部分には
サンドペーパーをかけて通気性を確保したミッドソールを作ります。
ミッドソールを装着して縫う準備が整いました!
縫い糸はクラークス専用に使っている太い組糸です。
実はこの色がなかなかなくてですね・・・散々探し回って、
結局普段お取引している糸屋さんにダメもとで聞いてみると
普通にあったといういわく付きの糸です。(笑)
私は一本針でちまちま縫っていくスタイルです。
こちらが出来上がりの画像
靴の顔。フロントです。
コバはナチュラル仕上げ。ヒール部分はカラメル色のハイブリッド仕様です。
元のソールの縫い目をきっちり再現してありますので、
違和感や過不足のない仕上がりになっていると思います。
機械縫いで元穴を貫くことなくガーッと一気に縫うと
底目のピッチも変化しますし、細部のデティールにも
良いとはいえない影響がでることもしばしばです。
なによりこのシンプルな美しさは出せないですね。
2.リーガル
リーガルのデザートブーツです。
クラークスよりも少し厚めの革を使って製靴されていますので、
幾分がっしりとした重厚感がありますね。
修理に使うクレープソールの構成などはクラークスと変わりありません。
こちらはアウトソールのみの交換で、ハイブリッド仕上げ。
上記しましたように年数が経っている靴の場合は
ミッドソールからの交換が必要な場合が多いのですが・・・
今回は状態を確認しながらアウトソールのみの交換が可能と判断いたしました。
そのため、一部補強縫いを施している部分もあります。
コストパフォーマンスを考えると、
修理後の耐久性が出るようならこちらのほうがいいですね。
コバ色はクリームでの着色《Pブラウン》です。
3.KOOS
秋冬の女子力UPには欠かせないこのブーツ。
今回ご紹介のアイボリー色は清潔感とキュートさを
合わせ持っていて魅力的ですね。
個人的には日本人に最も似合う色のひとつではないでしょうか。
KOOSはいろいろなデザインと色バリがありますが、
やはり日本人のデザイナーさんがかかわっているブランドだけあって、
愛着を持って履いている方も多いと思います。
ヒール部分がかなり磨耗してミッドソール部分も削れてしまってますが、
アウトソールのみの交換でまったく大丈夫です。
ミッドソールにクレープを肉付けして、部分的に縫い目を入れます。
もちろん手縫いです。
ロングブーツの仕様ですが筒の中に腕を入れて手探りで縫い目を突いていきます。
なれるとこのような事も鼻歌を歌いながらできてしまいます(嘘)
完成画像です。アウトソール交換のみ。ヒール部分はやはりハイブリッド。
こちらはオーソドックスなベロニク・タイプの黒
上のアイボリーはソール構成6mmX6mmですが、こちらは6mmX9mm
とヒール少し厚めの構成。
「ヒール高6mmと9mmどちらも可能ですがどちらがいいですか?」
とお尋ねすると、黒、茶などのヘビーローテーションされるものは大抵
「よく使うので耐久性あるほうで」
と、お答えになる方が多いです。
よりオリジナルに近い構成は6mmX6mmです。
ちなみにお値段は同じ。
4.ダンスク(DANSKE)
デンマークのダンスク。
ダックフィートモデルの修理例です。
ナチュラル・クレープでのアウトソール交換です。
アッパーの太糸使いが特徴的ですね。
コロンとしたイメージがありますが、サンダルなどは以外とソールが
薄かったりとデザインのメリハリが利いています。
クレープソールの交換修理全て可能ですのでご相談ください。
詳細はクラークスの修理とほとんど変わりません。
ナチュラル・クレープソール(アウトソールのみ)
さて、次回もクレープソール特集第二回目です。
もう一度クラークスに戻って、よりディープな部分もご紹介します。
では、本日は以上です。
クレープソールの交換修理 総まとめ一回目でした!
クレープソールの交換修理総まとめ!(その2)はこちら ⇒⇒⇒
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