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ソールはがれをしっかり復活させる修理をする

ソールの加水分解などによるはがれの修理

緋色舘の西野です。

本日のお題は「ソール剥がれ」です。
これほど「こんな修理だろう…。」とお客様が考えていることと
実際の作業に落差がある(つまり誤解が大きい)修理もありません。
それだけに伝えたいことを記事として書くのは難しいジャンルです。

■直らなければ捨てるしかない!

靴の修理には大きく分けて二種類あります。
ひとつはじわじわと摩耗する部分などが使用頻度に準じて使いづらくなる。
所謂ヒールが減ったり、予め消耗することが定められている部分を交換する修理。
もうひとつは突然重要部位が壊れたりして、修理しなければこれ以上履けない
ものをリストア(修復)する修理。


ソール剥がれはほとんどの場合後者の修理になります。
直らなければ捨てるしかないということになるので、こちらとしても慎重に状態を見極め、
修理方法をご提案します。

ソールの加水分解などによるはがれの修理
マルニのサンダルです。
単なるつま先はがれと見えますが、実は「加水分解」という状態になっていて、つま先の隙は氷山の一角

このマルニサンダルのソール素材は合成ゴムではなく樹脂なので、接着にはプライマー加工が必要です。
つま先の隙にボンドをちょっと縫って10分ぐらいで直せるものではないのです。

■プライマー加工やいろいろなソール圧着

ソールの加水分解などによるはがれの修理
エルメスのサンダルです。これもオール樹脂製。難しい接着の素材の部類に入ります。

ソールの再接着には

古い接着面に残った劣化接着材を全て取り去る(手作業で溶剤を使い拭き取っていく場合もあります)

プライマー加工を時間をかけて行います(半日以上かかる場合もある)

新たな接着層を作って再接着(清掃状態が悪かったり素材が劣化しているとしっかりと接合できない)

接着後に養生時間を取り、仕上げをする

典型的なレザーソールの加水分解。
接着後にいわゆる「割裂」「はく離」(接着の専門用語ですがなんとなくわかると思います)が起こらないように時間をかけて脆い階段を一歩一歩のぼるように慎重に作業を進めます。中途半端にしか修復出来ない場合、その靴はもう使えないということを意味するからです。
製靴や修理に使う弾性接着剤柔軟な硬化物性(しなるように動いても耐久する)を持っていて、そのようなものを的確に使用するスキルが重要なのです。

「靴底が剥がれたら、ただボンドを塗って10分ぐらいで貼りあわせばいい」

スピード系の便利な修理店でよくある修理です。お客様の利便性には貢献出来ますが、緋色舘ではそのようなことは致しません。やっつけ仕事ですぐにはく離が起こったら二度と直せない場合がほとんどなのです。

当然私自身は素人の方がDIYでなんとかしようとするのも無理があると感じてます。

ソール剥がれはキチンと直そうと思えばあらゆる修理の中で最も難易度の高い作業です。

ソールのはがれは全体を見るという意識をほとんどの方が持たないので、自分で瞬間接着剤で簡単で張り合わせられるとつい思ってしまうかもしれません。

人は様々な意見、感じ方を持っているのが当たり前なので、スピード修理を望む方にガードを固めて当方の作業法を押し付けるものではありません。上で見て頂いたようにお時間も手間もそれなりにかかります。
客観性をもって言えば作業コンセンサスが合わない場合、例えば今履いている靴をその場でなんとか無理にお受けするのは、お互い疲れるような不必要なことだと認識しています。安請け合いするのではなく、ただベストを尽くすようにする。それが当方の考える修理の在り方だというだけの話です。

ソールの加水分解などによるはがれの修理
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では以上、本日はソールの加水分解などによるはがれの修理についての記事でした。

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