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乗馬ブーツ(長靴)の修理について思うこと

こんにちは!緋色館の西野です。

本日は緋色館のメイン修理のひとつ「乗馬ブーツの修理」についてです。

乗馬ブーツのファスナーは消耗品だけど…

乗馬ブーツの修理で最も多いのがファスナーの故障を修理することです。

このような形で壊れてしまったり、グラウンドの砂利などが噛んでファスナーが上がらなくなったりと、そうしたことが多いですね。

乗馬ブーツを維持していく上でこの消耗品ともいえるファスナーをきちんと修理して長く使っていくということはとても大切なことです。

いざ故障となってしまった場合、どこで修理をするのか?意外と迷ってしまうことと思います。例えば試合の日時が迫っていたり、練習に差し支えるという事態も起こりえます。

ですがやっつけ仕事をするような所はいくら対応が早くとも、ブーツそのものの寿命を縮めてしまうこともあり注意が必要です。

緋色館が考える乗馬ブーツ修理の基本は

1.運動性能を損なわないようにする(仕様を変えずブーツのつくりに基本的に逆らわない忠実な修理を行う)

2.ユーザーファーストの目線で全体を捉えて修理を行う

当たり前ですが1)が守られていればおかしなことにはなりません。

ステッチの細かさやその走る位置、ライニングの処理、ファスナーならそれを付け替える構成の正確さなど、ブーツに余計なダメージを与えず再構成するのはそれほど簡単なことではありません。

2)は消耗品である互換性のある部分を付け替えたりする時に、さらに必要となる処理もキチンと行う、そして再度消耗が生じた時に困らないよう、同じクオリティで修理が出来るよう整えておくということです。

言葉にすると難しい感じですが、例えばファスナー交換時にライニングに穴が開いておれば塞いで次に備えておく。筒などの革あて修理を行う時は他の部位に干渉しないよう、本体とライニングを強引に縫い付けるような安易な方法は取らず…といったことです。そして修理後はキチンと清掃と手入れを行い、すぐに気持ちよく騎乗できるように心がけています。

至らない部分もあるとは思いますが、こうしたことが出来てこそ職人仕事と言えるのではないかと考えております。

デニーロブーツ(トリコロール イタリア)のファスナー交換

こちらもデニーロブーツ
乗馬ブーツの名作と言ってもいいでしょうね。
セルジオ グラッセ 修理前
同上のブーツ修理後
ファスナー交換と細革一本交換 筒の一部革あて
外したファスナーと細革
こうした部分は騎乗によりやむにやまれない形でダメージが及ぶので交換して本体を守っていきます。


筒や甲の革あて修理と底材の修理

とかく乗馬ブーツは内腿の部分の革が擦り切れやすいです
細革と内腿の革あて修理
今回使用しているのは少しグレインの入ったイタリア産のヌメ革で非常に丈夫な革
革止めのステッチは強固なダブルステッチ
そして筒に馴染むようへりを革包丁で漉きを入れてありま


ソールが分解した例
本体も裂けていて、甲にもダメージが及んで絶対絶命の危機!
甲とヒール付け根の革あてと、定番のvibram#2055ソールでソール交換
フロントから見るとこうした仕上がり
このような甲の革あて修理は必然、ソール交換を含むので
いわばオーバーホール
フラテッリ ファブリ つま先のレザー補強
正統的なグッドイヤー製法で作られた堤乗馬靴店のボックス型長靴
ウエルトの糸が摩耗して分解した物を修理
同上のソール交換完成品

さて、ということで本日は以上です。

緋色館の乗馬ブーツについてでした。

お急ぎ対応も可能な限りお受けいたしますが、やっつけ仕事は致しません。

正しい乗馬ブーツの保守は安全な騎乗の基本です。

よろしくお願いいたします!

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