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1.32017
つま先のキズとヒールの話 part.2(紳士靴編)
山の手緋色舘の西野です。
あけましておめでとうございます!
本年も緋色舘をよろしくお願いいたします。
さて、本日は年末からの特集の続きで、「つま先のキズとヒールの話」part.2です。
キャップに付いたキズを目立たなくさせる
チーニーのブーツです。
履き込んで細かいキズなどが少し目立ってきました。
特に右足のキャップは擦ったようになっていて、オーナー様がWAXなどを使って目立たなく
持っていこうとしたらしいですがどうも上手くいかないとのことでした。
表面の革がめくれ上がるほどの深いキズが付いてしまった場合は、接着で革をおさめてキズかくしのような
事をしなければなりませんが、このようなスレキズは革の表面が毛羽立つことで目立つので、
まずそれを寝かせるようにしてみましょう。
まずはリムーバーでトゥ・キャップに乗ったWAXを全て取ります。これでだいたいスッピンの状態ですね。
ギンギンにWAXを乗せている方は、この工程はあまりゴシゴシやらずに完全にふき取ることを目指さなくてもいいですね。
このあとデリケート・クリームを塗って2~3分乾燥させるとこのような状態に・・・真っ白です。
驚くかもしれませんが毛羽立った部分はこういう反応が出ます。
次に、さらにデリケートクリームを塗りこんで、「スリッカー」というツルツルした棒状のもので表面の毛羽立ちを押さえて
スキンケアします。
その後ニュートラルクリーム+ニュートラルWAXと進んで完成。
あまりキズが目立たなくなりましたね。
カラークリームやカラーWAXを使ってトゥ・キャップを濃い色にすることでキズを
さらに目立たなくさせることも出来ると思いますが、私としてはそれは履く方のキャラクターに合わせて
ということになるかと思います。
あまりキンキンに鏡面磨きをした靴や、先端のみ濃い色の付いたものは、香水やアクセサリーなどのようなもので日常使いし難い場合もあります。
ちょい悪オヤジ的な雰囲気が好きな方は別として、清潔感という意味からはニュートラルな靴の雰囲気は好感度も高いですね。
では次にこの工程をもう一度、今度は黒靴でおさらい。
スコッチグレインのエプロンフロントですね。
ビジネスで使いこんでいるので、細かいキズが目立ちます。
リムーバーで拭きます。
古いクリームやWAX、ヨゴレなども除去してすっぴんの状態に戻します。
デリケートクリームを塗って2~3分放置すると、毛羽立った部分は白く浮き上がります。
さらにデリケートクリームを塗りこんで、スリッカーで革の表面を慣らします。
この時必ずシュートリーを使いましょう。スリッカーはたとえば不要な印鑑などでも代用できます。
ツルツルした面で革を擦るだけ。
さて、どれくらいスリッカーを使えばいいかということになりますが、まあ疲れない程度でいいんじゃないでしょうか。
デリケートクリームだけ使ってこんな感じ。
あとは黒のカラークリームと最後にWAXを軽く使います。
WAXは一回薄く塗って軽く拭き上げるだけ。
プロテクトの意味で使います。
キズが目立たなくなりましたね。
紳士靴の場合は結局はキズそのものよりも、革の状態をスキンケアして上げてやることが重要です。
触ってみて革の表面がツルツルとハリがあるならOK
がさがさだったりベタベタしていたらダメですね。
そんなときはリムーバー(クレンジング)→デリケートクリーム(スキンケア)が有効です。
この組み合わせである程度キレイになったらカラークリームやWAXを使えばキズなどは気にならなく
なります。是非お試しください。
紳士靴のつま先補強
ジャラン・スリワヤですね。
レザーソールで履く場合、このようにつま先補強をしておくことで、
大事なウェルトを守ることが出来ます。磨耗がウエルトにまで達すると靴としての寿命は
一応終わってしまうので、つま先がよく減るという方はお試しください。
左:ゴム ハーフコーナー 右:ビンテージ・スティール
オールデンとメルミンです。同じオーナー様のもの。
Part.1で婦人靴のつま先の傷みと歩き方について書きましたが、紳士靴でも基本同じです。
新品はソールの返りがまだ付いていない状態なので、ダブルソールなどのソールの厚いものはよりつま先に負荷がかかります。
ラバーソールを張るならこの形もおすすめですね。もともと単体でステーィルを付けてもあまり音も出ないし、滑らないんですが、
足元の安心感という意味ではこれが一番。
vibram Exp’ソール+トライアンフ・スティール
サンダースのカントリータイプ短靴。
上記と同じ仕様です。トリッカーズに似ていますが、もともとがミリタリーがルーツなのでしょうか、
よりヘビーな造りが印象的です。
カントリータイプの靴に施されている無数の穴飾りはもともと悪路や悪天候をも想定してのもので、
雨に当たっても水はけが良く、ヒールも大きめで足をサポートする安定感は抜群に作られています。
紳士ヒールいろいろ
トリッカーズのヒール(トップリフト)です。
前が革後ろがゴムのコンビヒールですが、革としては滑りにくいレモンソール素材を使用してあります。
トリッカーズは前底にハーフラバーを張ってもあまり履き心地はかわりませんが、このリフトを交換すると
ちょっと変わります。
上でも書きましたが、こういう靴は悪路、悪天候で実力を発揮します。
なので私などは雨の日にトリッカーズを履くことが多いですね。
雨用というとゴムのリフトやソールのほうがいいような気もしますが、ことトリッカーズに関しては
レザーソール(およびトップリフトの革)が水を吸って柔らかくなり、慣れると雨の日のほうがより歩きやすくなります。
vibram Exp’ヒールです。
vibram 521T革ヒールです。
好みの問題ではありますが、ゴムにするとヒールが大きいぶん、路面グリップが強いので体重がガッシリ
と地面に受け止められる感じです。革ヒールはゴムに比べて若干滑りがあるため、歩行にかかる力が路面から逃げて、
慣れると体重の移動がスイスイと行われると…歩き方でずいぶん変わります。
ですので、自分にあったヒールを選択する必要があります。
vibram 521T革ヒールはトリッカーズの純正リフトに比べたら柔らかさ皆無、結構カチカチ(笑
なので最初はかなり滑ります。大きさから言ってもトリッカーズ専用といった趣きですが、
良いところは非常に耐磨耗性に優れている点ですね。慣れたら革リフトとしては軽快で強いので実用性が高いです。
オールデンのストレートチップ ダブルソールですね。
ヒール部分の積みなおしと、トップピース(革つきリフト)の交換
オールデンもやはりヒール大きめなので、革つきリフトでの歩行に慣れている方は
同じようなリフトで直したほうが結局履き心地も変わらず、いいかもしれません。
パラブーツのシャンボード
上;リッジウェイヒール
下;ダイナイトヒール
通常パラブーツにはリッジウェイのほうが合いますが、お好みでダイナイトヒールをつけるのもアリですね。
リッジウェイソールはダイナイトソールに比べ、ソールを線で支える分、悪路に強くよりカントリー的ですが、
ダイナイトソールはドット(点)で支えていて、よりドレッシーです。
JM.ウエストンです。
もともとはウエストンのオリジナル、リッジウェイ型の9mmリフトが付いています。
今回はvibramのリッジウェイ型7.5mmリフトを使用しました。
そのままでは高さが足りないので、もとのリフトを7.5mmカットしての装着になりました。
vibramの方がデザインがシャープでより都会的なムードになったかもしれません。
ヒールリフトも様々なものがありますが、
緋色舘では素材選びはお客様の好みと実用性などを前提にご提案しております。
いろいろな素材を目で見て選んで頂ける楽しさもありますので、是非ご来店頂きたいとおもいます。
では、長くなりましたが、本日はこれまで。
以上、つま先のキズとヒールの話(紳士靴編)でした!
今年もよろしくお願いいたします!