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6.152016
魅力のオールドクラークスとダンスクのソール交換
緋色舘の西野です。
またも気が付いたら6月の半ばということで・・・
なんだか忙しくしていたら時間が過ぎるのもアッという間という気がします。
去年末のオープンからなんだかんだで半年が経ってしまいました。(パチパチ)
6月といえば梅雨の季節ですが、
今年の気温は少々おかしいですね。またゲリラ豪雨とか竜巻とか
いろいろありそうで怖いです。
ということで緋色舘になってからクレープソールの本格的な記事を一度も書いていない感じなので、
今日はまた修理例をかいつまんでご紹介します。
~オールドクラークスの魅力~
古いクラークス(ワラビー)のリーフレットとタグ。
時代を感じさせますね。
別に古いものほどいいと言っているわけではないのですが、こういうのは個人的には貴重品です。
やはり手作りというのが強調されてます。
ほぼ完全な状態だったワラビー。
いったい何十年経っているのでしょうか?気品がありますね。
ソール交換は通常より薄めのクレープを使ってコバもブラウンの仕上げ。
こちらも袋モカタイプのワラビー
新しくソール交換することでクレープの履き心地が回復するので、温故知新で利用される方も多いです。
これはクラークスはそもそもクレープソール(天然ゴム)の特性を100%引き出す、シンプルな作りになっていることと
関係がありますね。
天然ゴムはいろいろとデメリットもありますが、ソールをリピートして「また履いてみよう・・・」と思わせる魅力が
クラークスの靴作りにはあるような気がします。
こちらはデザートブーツ。30年ぐらい前のものです。
ご依頼時にオーナー様より「思い出のもの」とお聞かせ頂いておりました。
驚くほど状態も良く、ソールはハイブリッド仕上げにしてありますが、全体的に黒を基調としたイメージがいい
とお聞きしていたので、コバはバフ仕上げのピグメント・ブラックです。
落ち着いた仕上がりになりました。
スクエア・トゥ的な英国クラークス。
これも形としてはレアっぽいですね。ほとんど使用せずに眠っていたものらしいです。
コバ仕上げに関してはこれは英国調にセパレートスタイル(革コバのみに色を入れる)。
フルブローグ調(ウィングチップ)のデザートブーツ。
これもあまり見ない形。
上;vibram#2021ソールに交換
中;ナチュラルクレープ ハイブリッド仕上げ
下;ナチュラククレープ ハイブリッド セパレートスタイル仕上げ
緋色舘的にはクラークスの修理の中で最も多いのがこれです。
ウェッジソールで履きやすいし、服にあわせ易く手放せないタイプの一足ですね。
そういえば「NEVERまとめ」サイトにクラークスのコーディネート編(lady’s)が以前ありましたが
やはり一番最初にデザートトレックが出てきます。
続いてデザートブーツをvibram#430ソールでソール交換した形。
外側のハンドステッチと内側のマッケイ縫い(機械縫い)のふたつの縫い方を駆使せてソールを合わせてあります。
ブレイク製法の逆パターンですね。
仕上がりはヘビーすぎず、適度にハードな印象で、スタイリッシュになったと思います。
今回はお客様よりのご要望で#430ソールを使いましたが、英国製クラークスには本当によく合うなぁと思いました。
クレープから別のソールにチェンジしたい方にはお勧めの修理のひとつです。
底縫いはダブルステッチ、アッパーの糸も太い糸で構成されているクラークス。
初見驚きました。
デザートブーツですが、ソールはウェッジと・・・なにもかも仕様が特別なレアモデル。
通常クラークスの底はこのように手縫いで合わせていきますが・・・
この靴の場合はこんな感じ。
ダブルステッチはバランス取るのが難しいですね。
ですが糸が二重なので安心感は文字通り桁違い。
バックスタイルもこんな感じです。
アッパーのハードさとクレープソールのやわらかさが不思議にマッチしていますね。
アーティスティックな一品です!
さて、クラークスの最後はウレタン系ソールのネイチャー2
経年劣化でこのような事態へと至りますが・・・
ちゃんと直ります。
中のエア・アクティブ・インソールも使えますのでご安心を。
縫い付けるミッドソールに細工を施してこのインソールが使えるようにしてソールを作るわけです。
靴の履き心地に大きく影響する部分なので、このインソールが使えないとお金を払って修理して
頂く値打ちもありません。
vibram#2021ソールにて完成。ネイチャー2は経年劣化で分解はしますが、それまではヒールの磨耗などにも強く、
部分修理もほとんど必要なしの強い靴です。ソール交換をすればまた長く履いていけるので、結局は長い目でみれば
なかなかコストパフォーマンスにすぐれた靴です。
なにより他にはない履き心地もありますね。
~ノルウェーのダンスク~
さて、記事の長さの都合でクラークスに比較してちょっとのご紹介になりますが、
ダンスクのソール交換です。
ソール交換と甲のゴム交換、ステッチ切れも補修しています。
ダンスクのよい所はミッドソール(中底)が革製でものすごくしっかりとしているところです。
ちなみにクラークスはフェルトですね。
なのでこの部分が劣化してミッドごとの交換という修理にはあまりなりません。
使用されている革も植物タンニンなめしのよいものだけを使っているので実質のコストパフォーマンス
はクレープを使った靴の中でも最も高いのかもしれないですね。
こちらはヌメ革で作られたダンスク・ダックフィート
キレイに履いてらっしゃるのですが、革質も本当にいいですね。
汚れたらサドルソープで洗ってみるのもいいかもしれません。
ということで本日は久しぶりにクレープソール関連の記事でした。
最後に、今年の夏は猛暑らしいですから、保管の場合は風通しの良い、気温と湿度の低そうなところに
置いてください。クレープソールは天然素材ですから、ケースバイケースで劣化もありえます。
秋に箱から出してしまった!ということのないようにお気をつけくださいませ。
以上! クラークスとダンスクのソール交換でした!